坂本要(仏教民俗学者)
「民俗」とは語意からすると「民間の習俗」ということでしょうが、メディア論から見ると、直接コミュニケーションに基づくアンチメディアの世界で成り立っている文化です。文字を媒体としない「声」や「そぶり」で伝達する社会、それが記憶として世代を超えて伝えられている、そのような文化の体系を「民俗」と定義できます。社会に文字があっても、そうでない部分「文字文化の中の非文字文化」と捉えればいいわけです。