最新号のご紹介
敬称略、肩書きは掲載当時のものです。
令和8年5月発行:第142号
『大乗起信論』と「無ではない」という問い
寺を継ぐ身からインド思想や仏教哲学を広く渉猟
北川清仁(密蔵院住職)
学生時代、ウパニシャッドに始まり、仏教の中観、近代のオーロビンド・ゴーシュなど、インドに関連する多様な思想哲学を研究しました。その間、1人でインドを目指し、さらに中近東やアフリカまで陸路で旅もしました。そしていま再び研究テーマとなっているのが若い頃に惹かれた『大乗起信論』です。『起信論』では、単なるアーラヤ(阿頼耶)識縁起の因果関係に留まらない、真如と妄心の相互薫習による双方向の働きかけがあります。仏の側から見れば阿梨耶識(阿頼耶識)はすべて清らかで、私たちの側から見ればすべて汚れている、その両方が同時に成り立っているけれどもその和合という事態は理解を超えている。むしろ理解を超えているからこそ、そこに宗教体験の深みがあるのだと。
私にとっての核心は真如の実在の問題、「無ではない」ということです。その点を如来蔵の議論を通して自分なりに感じ取ろうとしてきたし、それを詩作の言葉にも表現していきたいです。
バックナンバー
一面を飾った方々。
敬称略、肩書きは掲載当時のものです。