敬称略、肩書きは掲載当時のものです。
令和6年11月発行:第135号
弘法大師の入定留身に本源から迫る
人は死なない事例や固有の来世観で
添田隆昭(高野山大学学長)
物心ついた頃には入定留身の話が耳に入って来て、何でお大師様は今も生きておられると言えるのかという疑問は最初からありました。入定留身を大師信仰の基盤とする私たちの立場からすれば、死が終わりでなく、人は肉体が滅んでも死ぬことはなく、死後にどう生きているのかを証明していくことが最も重要で、書籍の執筆にあたり、その証拠となりそうな事例を幅広く集めました。
現代は、むしろ日本人が古来から持って来たメンタリティ、来世観が蘇ってくる時代です。亡くなった人たちはどこにも行かないし、無に帰すこともなく、私たちが暮らすこの空間に一緒にいます。そうした人は死ぬことがなく、死んだ後もこの同じ空間を共有するという来世観が今後はさらに見直されていくと思います。この延長線上に、弘法大師は死んでいない今も高野山の岩陰にいらっしゃるという入定留身がリアリティを持つのです。
一面を飾った方々。
敬称略、肩書きは掲載当時のものです。
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