最新号のご紹介
敬称略、肩書きは掲載当時のものです。

令和7年5月発行:第137号
「自我を消す」仏師の境地
「発願」に応え仏様を「迎える」
今村九十九(大仏師)
昔ながらの徒弟制度が残る最後の時代に中学卒業と同時に仏師の道に入り、師匠からは仏師としての心構えをはじめ、生き方の全てを学びました。
仏師は、単に伝統技術を受け継ぐだけの職人であってはなりません。僧侶と同じように、人々の祈りを受け止め、仏の世界を形にするという、極めて宗教的な役割を担う存在であるべきです。師匠の言葉を通して、「仏像を彫る」とは、技術や個性を誇示するのではなく、むしろ「自分」を消し去り、心を空にして仏様を想い、念じて、仏様がこの世に「顕れる」ための依り代となることだと理解しました。仏師の意識として、最初は仏像を「造る」という気持ちが強いですが、それが「顕す」へと変化して行き、最終的には仏様を工房に「迎える」という心境に至ることが理想です。仏師の仕事は単なる技術ではなく、「仏師行」であり「仏師道」であると思って、日々を生きています。
バックナンバー
一面を飾った方々。
敬称略、肩書きは掲載当時のものです。
41号~60号
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第60号
達野百合子
(Be born助産院)母と子の心身の健康を目指して
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第59号
加地伸行
(立命館大学教授)沈黙の宗教-儒教
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第58号
吉津宜英
(駒澤大学教授)「自灯明・法灯明」を生きる
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第57号
三橋健
(國學院大學大学院客員教授)「清く正しく美しく」生きる
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第56号
信子ナルマダー
(リシケーシ在住)シヴァ-ナンダ師の教えに導かれて
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第55号
香取薫
(インド・スパイス料理研究家)インドの家庭料理で健康に
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第54号
武田道生
(宗教学者)人は存在としては死なない
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第53号
篠原鋭一
(自殺防止NPO理事長)「自分であれ他人であれ、殺してはならない」
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第52号
平本夢想
(画僧)病に導かれて画僧の道へ
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第51号
カルロス・グェラ、中村徳子ご夫妻
(インド音楽家)自分自身を音楽に捧げる
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第50号
坂本要
(仏教民俗学者)念仏は一種の呼吸法に基づいている
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第49号
HSシャルマ、イナムラ・ヒロエ・シャルマご夫妻
(大阪アーユルヴェーダ研究所)二人三脚でともに歩んだ30年
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第48号
北本福美
(音楽療法士)「老い」や「死んでいく」ことに寄り添う
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第47号
大下大圓
(飛騨千光寺住職)「道」…誰かが最初の一歩を
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第46号
中井吉英
(心療内科医)心療内科はからだとこころを分けずに診る医療
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第45号
ツプテン・パルダン
(ラダックの高僧)生命を尊び、仏の教えを守って生きる
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第44号
赤松隆成
(法住寺住職)心から声にして歌うことが仏の道
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第43号
山崎泰廣
(高野山真言宗大僧正)三昧は緊張と弛緩のバランスが大事
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第42号
石上善應
(淑徳短期大学学長)「往生を誤らざる事」
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第41号
杉谷義純
(寛永寺両大師堂輪番)宗教間の対話・協力に尽力