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敬称略、肩書きは掲載当時のものです。
 
					令和7年5月発行:第137号
「自我を消す」仏師の境地
「発願」に応え仏様を「迎える」
今村九十九(大仏師)
							昔ながらの徒弟制度が残る最後の時代に中学卒業と同時に仏師の道に入り、師匠からは仏師としての心構えをはじめ、生き方の全てを学びました。
仏師は、単に伝統技術を受け継ぐだけの職人であってはなりません。僧侶と同じように、人々の祈りを受け止め、仏の世界を形にするという、極めて宗教的な役割を担う存在であるべきです。師匠の言葉を通して、「仏像を彫る」とは、技術や個性を誇示するのではなく、むしろ「自分」を消し去り、心を空にして仏様を想い、念じて、仏様がこの世に「顕れる」ための依り代となることだと理解しました。仏師の意識として、最初は仏像を「造る」という気持ちが強いですが、それが「顕す」へと変化して行き、最終的には仏様を工房に「迎える」という心境に至ることが理想です。仏師の仕事は単なる技術ではなく、「仏師行」であり「仏師道」であると思って、日々を生きています。
						
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一面を飾った方々。
敬称略、肩書きは掲載当時のものです。
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							第139号 山口 豊 
 (東京情報大学・大学院教授)「星は神様」インド占星術の叡智 
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							第138号 高橋 玄朴 
 (筑波大学大学院ヨーガ・コース講師)危機の時代を生き抜く「われに返る」呼吸法 
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							第137号 今村九十九 
 (大仏師)「自我を消す」仏師の境地 
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							第136号 長谷川敏彦 
 (未来医療研究機構代表理事)越境により巡り合った時代の証言者たち 
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							第135号 添田隆昭 
 (高野山大学学長)弘法大師の入定留身に本源から迫る 
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							第134号 上杉彰紀 
 (鶴見大学准教授)インダス文明を〝モノ〟から読み解く 
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							第133号 河野良文 
 (大安寺貫首)インドの祇園精舎を模した大伽藍をCGに 
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							第132号 田島和雄 
 (洗心福祉会美杉クリニック院長)限界集落の医師となり八キロの山道を速歩で通勤 
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							第131号 山口博永 
 (不老山能忍寺住職)ヴィヴェーカーナンダに歓喜で巡り会う 
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							第130号 小松美羽 
 (現代アーティスト)東寺の大法会で開眼されたネクストマンダラ 
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							第129号 パロミタ友美 
 (バウル行者)現代バウルを代表するパルバティに弟子入り 
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							第128号 外川昌彦 
 (東京外国語大学教授)日印交流の種まいた岡倉天心からひも解く 
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							第127号 河野亮仙 
 (天台宗延命寺住職)日常行としての梵字の普及を目指す 
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							第126号 飛鷹全隆 
 (真言宗長者)東寺長者の御修法〝大阿〟は53年ぶり 
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							第125号 ニディーシュ・カリンビル 
 (カラリパヤットゥ・グルッカル(師範))インド武術“カラリ”に捧げた人生・・・第二章を日本で 
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							第124号 北西剛 
 (日本アーユルヴェーダ学会理事長)伝統医学の健康観で積極的な予防・養生を 
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							第123号 張本研吾 
 (イタリア・ナポリ東洋大学研究員)ヨーガとヨーガ学派の違いに着目 
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							第122号 柴田文啓 
 (臨済宗妙心寺派開眼寺住職)定年後、第二の人生は禅僧として生きる 
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							第121号 釋満潤 
 (日本佛光山総住職)生きがい求めて星雲大師の人間仏教と出合う 
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							第120号 ハナムラチカヒロ 
 (大阪府立大学准教授)風景“異化”でモノの見方が変われば世界は変わる