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たいまつ通信

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敬称略、肩書きは掲載当時のものです。

福家俊彦

令和8年7月発行:第143号

別所が生んだ「無縁」のネットワーク

「新しい伝統をつくる」次代への構想を語る

福家俊彦(天台寺門宗総本山三井寺長吏)

三井寺は交通の要衝にあり、中世には修験や芸能・職能民のネットワークが発達しました。境内の南側には「別所」とされた地域があり、正規の僧侶だけでなく社会の枠組みから外れた人々が身を寄せ、一種のアジール(避難所)にもなっていました。
天台の根本には平等思想があります。私も平等・自由であることが最も大事な価値観だと考えています。歴史上の別所が担ってきたのも、まさにそういった役割だったと思います。『男はつらいよ』の寅さんのような人がそれなりに生きていける余地を、社会のどこかに確保したいと考えてきました。そして、故松岡正剛さんと共に「近江ARS」というプロジェクトで試みてきた、誰もが同じ土台に立って話せる「座」の文化を、別所という形で境内に具体化しようと計画しています。十年、二十年かけてやっていく仕事であり、私の代で終わるものではありません。単に伝統を守るだけでなく、新しい伝統をつくっていくんだという意識を、次世代の若いお坊さんたちにも持ってもらいたいですね。

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敬称略、肩書きは掲載当時のものです。